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2006-9-8 ITのお話
学会参加は面白い!
現在、VR(Virtual Reality) の学会に参加中です。
残念ながらスピーカではなく、単に聴衆としての参加ですが。
本日は学会二日目で東北大学教授の特別講演がありました。
学会の特別講演は結構いい加減なものが多いイメージでしたので(通常のキーノートとはちょっと違って、さすがに学会だな・・・という感じ)本日の特別講演は良い意味で期待を裏切られました。
面白かったです。
発表されたのは大会長の鈴木先生でした。
専門は聴覚らしく、聴覚に関していろいろと興味深い話を伺いました。
先ずは人間の可聴領域に関してです。よく知られていることですが、人間の可聴領域は 120 DB 程度あります。が、実はこれはちょっとしたからくりがあるそうです。60 DB 以下の小さな音はわざわざ増幅しているそうです。その増幅装置は逆に 60 DB よりも大きな音に大しては効果を発揮しないそうです。つまり、あまりに大きい音は増幅しない、というわけです。人間の体って、上手くできていますねー。
その他には人間は音速を知っているという実験結果を発表されていました。
例えば、手をぱちんとする動きを動画で見せたとして、その動画と実際にぱちんと音が鳴るまでの時間差をシステム的に発生させた場合、画像と音声に 50[ms] 程度のずれがあれば人間は「ずれがある」と認識可能だそうです。この 50[ms] のづれとは音速を考慮すると実距離で 20-30[m]を指します。ところが、コンサートホールや野球の内野手などはこの音声のづれを意識しないそうです。
つまり、脳は距離感からくる音声のづれを理解しており、自動的に修正しているというのです。これは実験的にも照明されていました(実験の詳細は省略します)。
うーん、凄いですね。
人間の音声認識の特徴として、以下のようなことも言っておられました。
人間の感覚にはベクション(自己運動感覚)というのがあります。これは実世界とは別に自分自身だけが理解する運動感覚という意味です。もっとも有名かつ顕著な例が自分が駅停車中の電車に乗っているときに、隣の電車が発車するタイミングで自分の乗車する電車も発車するように感じる感覚のことです。
これが、視覚と聴覚では逆向きだと言っておられました。
どういうことかというと、電車では対向車の発車の逆向きに自己運動感覚を認識するにも関わらず音声で同じ実験をすると対応する音源と同じ向きに自己が運動していると認識するそうです。非常に面白い実験結果ですね。教授の分析によるとこれは視覚が主に前方の認識を司る事に対して、音声は後方の空間認識を担当しているせいではないか、と言っておられました。
うーん。
これは考察(推論)に過ぎませんが、こちらも極めて興味深い考察ですね。
人間の知覚というのは本当に面白い。
それを実感する学会です。
特別講演、面白かったです。
ありがとうございました。>鈴木教授